インタビュー

「FFXIV」、「パッチ4.2 暁光の刻」吉田直樹氏インタビュー

今年もパッチとイベントの両面で楽しんでもらえるような1年にしたい

1月30日 実装

プロデューサー兼ディレクターの吉田直樹氏

 スクウェア・エニックスは、プレイステーション 4/Windows/Mac用MMORPG「ファイナルファンタジーXIV(以下、FFXIV)」の最新アップデート「パッチ4.2 暁光の刻」を1月30日に実装する。

 先日の「プロデューサーレターLIVE(PLL)」で「4.2」のトレーラーが発表されて以来、実装日を指折り数えている人も多いだろう。いよいよあと数日に迫ってきた実装内容について、プロデューサー兼ディレクターの吉田直樹氏から話を聞くことができた。気になるメインストーリーや、いよいよ登場する「次元の狭間オメガ:シグマ編」や、「4.25」で実装される「禁断の地エウレカ:アネモス編」など注目のコンテンツについて色々と聞いてきた。

帝国側の新キャラクター「アサヒ」が登場

――まずは「暁光の刻」というタイトルに込めた意味を教えてください。

吉田氏: 今回は日本語のタイトルに苦労しました。ドマ編は4.2と4.3で前後編に分かれています。4.2では「東方に新たな日が昇る」というテーマにしているので「rise」と「sun」はすぐに決まったのですが、日本語になかなかかっこよさげなものがなくて。「朝もや」とか「朝焼け」とかいろいろなものが出たんですが、いまいちしまらなくて……。

――最終的に「暁光」になったんですね。ポイントは朝日ですか。

吉田氏: 東方に新たな日が昇るというのがポイントです。新キャラクターの名前もアサヒというストレートな名前ですね。東方にどんな夜明けがきているのかという事と、後はシステム的にも今回ミラージュ・プリズムの根本改正とか、新たなシステムも入っているので、その辺りの「FFXIV」の次の一歩という意味も込めて。新年でもありますしね。

――新キャラクターのアサヒはトレーラーにも出ていましたね。正式名称は何というのですか?

吉田氏: アサヒ・サス・ブルトゥスです。現在は帝国側の人間ですね。

――帝国の大使ということだから、普段は帝国で暮らしているんですよね?

吉田氏: もちろんです。彼は帝都から派遣されています。王族とか将軍以外で、ストレートに帝都から来た、と言って来るのは初めてだと思います。

――トレーラーを見る限り、今回は敵ではなくて、一緒に冒険する仲間として登場するんですか?

帝国から来た新キャラアサヒ・サス・ブルトゥス

吉田氏: それは、いろいろ想像しておいていただければと。

――アサヒが、何の目的でドマを訪れるかは秘密ですか?

吉田氏: はい。

――彼はこれからの前後編の話のなかで活躍するのですか?

吉田氏: ドマ編では、今後、中心になる存在のひとりです。

――魔列車が出ていて驚いたのですが、あれはメインストーリーに登場するのですか?

吉田氏: 4.Xシリーズのトレーラーは、昔のようなコンテンツダイジェストではなくて、映画のトレーラーのようにシーンをつないでいるので、本編を遊んでみて答え合わせをしていただきたいなと(笑)。

――つまり、メインストーリーにでてくるとは限らないということですか?

吉田氏: そうです。うまく1本のお話のように見せるため、編集にはとても苦労しました。その分だけ、良い仕上がりにしてくれたと思います。

――魔列車が出たり、トレーラーの最後にケフカが出ていたりと、今回は「FF6」がオマージュされているんですね。

吉田氏: たぶん(笑)。

インタビューの後PLLで「次元の狭間オメガ:シグマ編」の最初の敵だと判明した魔列車

――魔列車登場は、次の次の拡張くらいになるかもと囁かれていたので、今回登場したことで喜ぶ人は多そうですね。

吉田氏: 皆さん意外とトレーラーをストレートにご覧になるので、色々な解釈があり、面白いなと感じます。

――といいますと?

吉田氏: トレーラーには色々な仕掛けがあり、プレイしてみてわかること、プレイのあとで気付くことなどもありますので、答え合わせをする感じにしていただけると嬉しいです!

――メインストーリーの舞台はクガネになるんですか?

吉田氏: クガネはひんがしの国なので、舞台になるのはヤンサです。あくまでもドマの復興はドマの人たちの物語なので、お話の大部分はヤンサで行なわれます。

――ヤンサには忍者の隠れ里もありますが、そういった部分がメインストーリーに絡んできたりするのですか?

吉田氏: あまり詳しくは言えませんが、今回は「4.1」以上に静かというか、バトルコンテンツというよりは、会話劇に力を入れて作っているので、その辺りを見ていただけると嬉しいです。「FFXIV」のメインシナリオの場合、帝国の支配から逃れました!でハッピーエンドで終わるような造りではないです。

 パッチ「4.1」では、帝国の支配から解放はされたものの、どちらかと言うと支配下で生まれ育った自分たちは帝国民だと思っているアラミゴ人と、迫害を受けてきたアラミゴ人たちが共存していくことの現実感を描いたつもりです。今回のドマでは、喜んではいるものの、そこに記憶を失っているのか、失っているふりをしているのかわからない、ドマの人たちにとってはゼノス以上に恐怖の対象だったヨツユが戻ってきて、さてどうなるのかというところが大きなポイントです。

――トレーラーの中ではヨツユとユウギリの関係がちらっと描かれていましたね。

吉田氏: あれはすごくわかりやすいシーンだったのでトレーラーに使いました。ユウギリは戦う側の人間なのであの反応ですみますが、民衆に存在が知れたらどうなるのか。そのあたりにもぜひご注目ください。

「禁断地のエウレカ:アネモス編」は「FFXI」風のフィールド?

――4.25で実装予定の「禁断の地エウレカ:アネモス編」ですが、まずは4.25の実装時期はいつくらいの予定ですか?

吉田氏: いつも通り、だいたいメジャーアップデートの1カ月後くらいだと思っておいていただければ良いかと思います。

――もともとエウレカって「FF3」ではクリスタルタワーとセット出てくるものですよね。昔のインタビューでは、クリスタルタワーの要素として考えていると言っていた時期もあるようです。今回、クリスタルタワーと何らかの関連性はあるのですか?

吉田氏: これもちょっとシナリオの核心部分なので、あまり詳しくはお話しできないのですが、あまりにも奇妙な現象が起きている……そこでクリスタルタワーの伝承で伝わっている地名を仮に付けたのが「エウレカ」です。この辺りもシナリオで触れられています。

まだまだ謎の多い「エウレカ」

――クリスタルタワーのストーリーと関連があるわけではない?

吉田氏: 今のところ直接的な関連はないです。クリスタルタワーはサイドストーリーなので、まだ必須ルートには組み込みにくいのです。また、クリスタルタワーはストーリーが一旦綺麗に完結していて、ドアも閉じられている状態なので、今のままだとすぐには触りづらい。そこで、あくまで摩訶不思議な場所であるということと、武器や防具の強化をそこで行なうという意味にひっかけて「エウレカ」にしよう、というのが大本の理由です。

――「FF3」のエウレカは、武器の化身を倒して武器を手に入れるということを繰り返す場所でしたが、そういった「FF3」のシステムを引き継いでいる要素はあるのですか?

吉田氏: そこまで明確なものはないです。武器も防具も強化できるというところがエッセンスとしてあるくらいです。

――「ディープダンジョン 使者の宮殿」ともまた違うものになるんですか?

吉田氏: 全く違います。まだ実装は少し先になりますので、あまり詳しくお話しできないのですが、ただシステム的には全く新しいシステムを使っていて、コンテンツではありますが、エウレカはほぼフィールドだと思っていただければ良いと思います。

――「雲海探索 ディアデム諸島」とも違う?

吉田氏: コンテンツファインダー経由で入るところは同じですが、エウレカは飛んだ先でパーティを自由に変更することができます。8人で行ってもいいし、4人で行ってもいいし、1人で行って向こうで仲間を見つけてもいい。ソロでも遊べるし、パーティでも遊べるという形です。エレメンタルレベルというものが存在していて、全員がエレメンタルレベル1からスタートし、エレメンタルレベルを上げないとまったく戦えないです。ですので、普通にレベリングをしていただくことになると思ってください。そのレベルは常にセーブされていき、そしてレベル6からデスペナルティつきです。

――経験値ロストがあるんですか?

吉田氏: はい。ただしそれは戦闘不能後に一定時間蘇生を受けられなかったり、デジョンしてホームポイントに戻った際に発生します。レイズを受ければペナルティはありません。他には、専用の「マギアボード」という自分の属性をスイッチするプレートみたいなものがあって、それを活用しながら探索していきます。エウレカ内のモンスターは、プレーヤーを感知すると、これまでのパブリックフィールドとは異なり、モンスターがどこまでも追いかけてきます。いつもの感覚だと大混乱となりますので、ご注意ください。

――「エウレカ」の中だけ「FFXI」のような世界なんですね。

吉田氏: NM(ノトーリアスモンスター)はF.A.T.E.の仕組みを使ってみんなで倒せるようになっているなど、「FFXIV」のシステムを生かした作りにしてありますが、ちょっと第一世代っぽい遊びにはなっていますね。

――今回「アネモス編」という名前ですが、「次元の狭間オメガ:デルタ編」や「大迷宮バハムート:侵攻編」のように今後もなんとか編という名前で追加されていくのですか?

吉田氏: そうです。

――今回だけで最強武器ができるわけではないってことですよね。

吉田氏: ゾディアックウェポンやアニマウェポンと同じで、今回までのパッチの区切りまでで作れる1番強いものは作れます。ただ、最強は「オメガ」のドロップ武器であることには変わりないので、今後のアップデートで時間をかければそれに類する強さの武器が手に入るということになります。

四聖獣奇譚「白虎征魂戦」は4.2で1番派手かも?

――四聖獣奇譚「白虎征魂戦」ですが、トレーラーでは人型になっていましたね。

吉田氏: 動物型のまま戦っても、「FFXIV」のバトルではあまり面白くなりません。後は……まっすぐの人型蛮神は意外と久しぶりなのかな? ということで割と正統派です。

――というと、肉弾戦的な戦い方ですか?

吉田氏: 肉弾戦といわれるとどうでしょう……。しかし、今回もしかしたら4.2の中で1番派手かもしれません。開発コストがものすごくかかっています(苦笑)

――今回から「征魂戦」という名前になりますが、これはどういう意味があるのですか?

吉田氏: 厳密に言えば四聖獣が蛮神ではないからです。同様の理由で、ニーズヘッグが「征竜戦」だったように、今回は魂を征する戦いということで、四聖獣戦は全部征魂戦になると思います。

――単に倒すというだけではなくて、倒して鎮めるというイメージですか?

吉田氏: 鋭いご質問……。そのあたりはシナリオの方で綺麗に理由付けされています。今回、三闘神シリーズと同じくらいの感覚でストーリーを作っていますが、すごくよくまとまっていて、バランスもとてもよく、カットシーンも綺麗に組まれているので、人気が出るんじゃないかなとは思っています。

途中から人型となる白虎

――設定の中に「FFXI」のテンゼンの名前があって、気にしてる方も多そうですが、実際に登場するんですか?

吉田氏: 見ていただくまでは内緒にさせてください。ただ「FFXIV」の場合、名前だけ出すということはあまりやらないので、ある程度、ご期待には添えると思います。楽しみにお待ちください。

――ということは「FFXI」ファンの人は結構嬉しいことになりますか?

吉田氏: 当然ですが、「FFXI」を遊んでいない方にわからない話にはしていないので、こういう解釈されているのか、とか。少なくともプレイされていない方よりはニヤニヤできると思います。

――「FFXI」コラボではイロハがヴァナ・ディールからワープしてきましたが、ああいった設定とは違うということですか?

吉田氏: 違います。

――虎の敵だから、あのままの姿でマウントとしてドロップしてほしいなと思わなくもないですが、手に入るマウントは犬ですか?

吉田氏: 申し訳ないのですが、犬です(笑)。

白虎からは、虎柄の犬が手に入る

――ついでにマウントがらみですが、蛮族クエストで手に入るゾウですが、あれも飛ぶんですか?

吉田氏: もちろん飛びます!

――あの巨体がどうやって飛ぶんですか?

吉田氏: 僕もマウントチェックして、もうちょっとひねったら?と思ったんですが、素直に飛びます(苦笑)

――楽しみですね。

吉田氏: ただ、デカいからすごく遅く感じるんですよね……。

蛮族クエスト報酬のゾウ。もちろん飛ぶようだ

――あれがラールガーズリーチあたりに大量に現われたらすごいことになるんだろうなと。他にマウントでフライング対応するものってこのタイミングでありますか?

吉田氏: 今回は三国グランドカンパニーの軍馬がフライング対応されています。マウントは今回も多数あり、注目はデスクローですね。

――スクリーンショットが発表されているやつですね。

吉田氏: デスクローは最初のアイデアが割と普通だったので、こう「つまんで」欲しい、と伝えたところ、とても良い絵になったと思います。ゴリラマウントなみに人気出てくれるといいなと思っています。4.2のマウントの目玉はたぶんあいつですね(笑)。

つままれて移動するデスクロー

「次元の狭間オメガ:シグマ編」ではさらに難しい脳トレが登場?

――「次元の狭間オメガ:シグマ編」ですが、こちらもストーリーが盛り上がってきていますね。

吉田氏: いよいよ中盤なので、話の展開的にも割と最初の「デルタ編」でさらりとしか触れられていないところが、割と核心的に触れられたり……。ミドガルズオルムにもまたフォーカスがあたりますし、あとはネロのかっこよさとか、いろいろ見ていただけるところが多いと思います。

――久々にネロとの共闘があるようですね。

吉田氏: なんだか着込んでましたね……やる気に満ち溢れていました。

――隠れた人気があるキャラなので、一緒に戦えるのは嬉しいですね。

吉田氏: 彼を新生編で登場させた時は、僕たち開発チームも誰一人、あんなキャラクターになるとは思っていませんでした(笑)。でも、嬉しいですね。

――美味しい所をとっていくキャラですね。今回のトレーラーの中で、どれがボスなんだろうなとおもいながらみていたわけですが、やはり最後に出てくるのはケフカなんですか?

吉田氏: それを言うのは野暮なので伏せますが、オメガの「想像力」をお楽しみください。きっと、ご満足いただけると思います

――「絶バハムート討滅戦」のテキストを見て攻撃を避けるギミックで、読み上げアプリのために難易度に差がついてしまったという話がありましたが、今回の「シグマ編」にはそれに類するようなギミックはありますか?

吉田氏: バトルトークのテキストを見て、次に来る攻撃を避けるというギミックは、オメガにはありません。すべて視認でわかるようになっています。

――今回も1層と2層が難易度低めで、3層から難しくなる感じですか?

吉田氏: そうです。1層はあっさり攻略されると思っています。ただ、「デルタ編」1層のアルテ・ロイテと比べると、少し難しいかもしれません。当時「デルタ編」を作ったときには、まだ皆さんがレベル70のスキルローテーションになじんでいないという前提で作っているので、かなり難易度を落としています。

 でも今回は、みなさんがレベル70のスキルローテーションになじんだ状態になっているので、その状態できちんと歯ごたえがあるように作っています。よく過去のボスと比較してどうですか、と聞かれるのですが、プレーヤーのみなさんの平均スキルレベルもどんどん向上するので、現在の皆さんが遊んだ時に、「デルタ編」を攻略した当時と同じくらいの歯ごたえになるよう、調整したつもりです。

――今回もワールドファースト争いの激戦が繰り広げられそうですね。

吉田氏: 今回も2日決着くらいになるかもしれませんね。

――彼らも、そろそろ零式の攻略に慣れてきてるということですか?

吉田氏: ワールドファーストを狙うようなプレーヤーのみなさんは、プレーヤースキルがとんでもなく高いのです。飛びぬけて高い。彼等に難易度を合わせすぎると、全然クリアできなくなってしまうので、零式は彼らにとってはやや甘めになっていると思います。今は「絶」シリーズがあるので、完全トップ層向けには「絶」を、という考えです。

今回も、頭を使うギミックが色々と登場しそうだ

――ちなみに今回の「シグマ編」の見どころを1つ挙げるとしたらどこですか?

吉田氏: うーん、脳トレがあります……女神の脳トレよりは、はるかに難しかったです(苦笑)。

――前回の3層よりもさらに難しい?

吉田氏: 個人的には前回より少し難しいと思います。今回の3層は前回のようなものとはガラッと違います。でも、楽しめる作りですので、あれこれギミックを推理しながらお楽しみください。

――トレーラーの中で、ドット絵がパパッと切り替わっていたシーンがありましたが、もしかしてあれですか?

吉田氏: はい。

――どの敵が出てくるかわからないということですか?

吉田氏: それだけじゃないのです……「零式」は、こんがらがりますね……。

――パネルが複数枚あるのがポイントですか?

吉田氏: 言いたい、けど言えない!(笑)

板鼻氏が描いたメインビジュアル

――そういえば、今回はメインビジュアルに「次元の狭間オメガ」の登場人物が集合していますね。前回は「リターン・トゥ・イヴァリース」のキャラクターがメインビジュアルを飾りましたが、これからもそういった形になるのですか?

吉田氏: いいえ、決めているわけではありません。まもなくパッチ「4.3」のメインビジュアルを発注しますが、それはメインストーリーがらみにしようと思っています。「4.1」では「リターン・トゥ・イヴァリース」というゲストクリエイターをお招きしての「FFXIV」の新しい展開でもあったし、「FFタクティクス」のイラストを描いている吉田明彦さんにイラストを依頼することができたので、「FFXIV」を知らない人にも、「これは何? 『FFT』の新作なの?」と思ってもらえるようにアピールしようと思ってそうしました。

 今回のオメガでは、同じ社内ではありますが、「チョコボの不思議なダンジョン」に登場する、可愛らしいチョコボデザインの生みの親である板鼻に参加してもらえました。それならばいっそ、今回のパッチ「4.2」では、「シグマ編」がスタートするので、アルファくんを可愛く、しかもガーロンドアイアンワークス仕様で描いてもらうのが良いかな、と。今回のイラストが広告バナーとして展開していったときに、チョコボを含めた新しい要素なんだなと思ってもらえるように。だから決めているというよりは、新しいお客様にも遡及できるようにという意味で、「4.1」と「4.2」がゲストイラストレーターさんに描いてもらえるチャンスを最大限活用した、ということになります。

――確かに「チョコボの不思議なダンジョン」をプレイしたことがある人にとっては、かなりビジュアル的には強い印象を受けそうですね。

吉田氏: 最初の「チョコボの不思議なダンジョン」が出てちょうど20年なので、その意味も込めています。

――アルファくんは「FFXIV」の世界から見るとかなり浮いている存在じゃないですか。あれもこれからのストーリーで、なぜあの姿なのかが分かってくるのですか?

吉田氏: いずれわかります。今回の「シグマ編」も終盤にかけてエラいことになっているのでご期待ください。

ナイトの火力を抑える方向でバランス調整

――バトルの調整なんですが、先日のPLLで戦士と黒魔道士については調整しますよという話がでていましたが、他にどういった予定がありますか?

吉田氏: かなり多くのジョブに対して、ロール内でジョブ固有の面白さを担保しつつ、横並びにするための調整が入ります。今回調整が何も入らないのは、赤魔道士と侍、忍者、竜騎士、吟遊詩人の5ジョブのみです。

――今優遇されているジョブには、弱体が入る可能性もあるということですか?

吉田氏: 突出させてしまったジョブは、少しずつ調整させていただきました。できるだけその突出に合わせて他を上げる調整を行うのが基本方針ではありますが、今回の場合はロールの役割以上になってしまい、ゲーム全体のインフレに繋がっていきそうなため、突出部分をやや抑えさせていただくことにしました。特にナイトは少しダメージを抑えないと、ユーティリティの高さに加えてとなっているため、横並びが作りにくい状況でした。申し訳ありません。

――火力を抑える方向ですか?

吉田氏: はい。少し抑えます。極端にはしていませんので、その点はご安心ください。

――また戦士が少し減ってきましたからね。

吉田氏: 最近増えてませんか? 逆に。暗黒より戦士によく会うなと思って。

――零式や極神龍のMTではよく見かけますね。

吉田氏: ST枠がナイトで埋まっているだけで、暗黒も戦士もあまり偏りが無い、というのが現状の印象です。

――極神龍は、コンテンツファインダーで入るとナイト2人になることが多いですね。みんなST枠を狙ってくるんでしょうか。

吉田氏: どっちもできますしね。今回の調整ポイントは4.1に向けて、4.0スタート時にバランス上凹んでしまっていたジョブを、4.06までに大幅に持ち上げたのですが、ここをイメージ払しょくも込みでかなり大胆にやった分、ちょっと持ち上げ過ぎたジョブがいくつかあるので、そこをならしつつ、同じロール内のジョブが横並びになるようにさせていただきました。

 いつものように微調整を繰り返して、少しずつ上げるという方法もあったのですが、それではイメージ払しょくができないと判断したので、4.06までにかなり大胆に強化を入れ続けることにしました。今回はその反動もあっての調整になりました。とはいえ、下がるものについては、申し訳ありません。ごめんなさい。

――ナイトはかなりいい目を見せてもらったので、そろそろ他のジョブにも光が当たらないとですね。

吉田氏: ナイトは特に3.0シリーズでの魔法防御力のウィークイメージも払しょくされて、使いやすく強いジョブであるという状態が続いたので、ご容赦いただけると助かります。

――それと個人的にちょっとネットで見かけて気になったのですが、今白魔道士のプロテスがレベル16で覚える技能になっていることについて、レベル15ダンジョンに行くときに求められて、新規の人が困っているという。

吉田氏: 僕もその記事を読みました。

――確かにそうだなと思ったんですよね。

吉田氏: 僕たちとしては、逆にそれを新規で始めた方の最初のIDの必須仕事にならなくても良いように、と考えてそうしていました。4年続けてきて今回注目になったポイントなので、それだけ新規の方が増えたんだなあ、というポイントでもありますね。仮にレベル15でプロテスを覚えてしまうと、それこそ「必須化」してしまうので、今度は逆に「ヒラさん、必ずプロテス入れてください!」と言われる機会が今以上に増えることになります。悩ましいですね……。ちなみにレベル15ではあってもなくても、数値変化はほとんどないので、開発チームとしては、入れない方が良いのではないか、という意見が多いです。

――確かになくても困らないんですが、そこで「プロテス」という人もいるんですよね。

吉田氏: 引き続き議論はしてみようと思います。

――おまじないのように書けるのがお約束になっていますからね。

吉田氏: うーん、そう言われると、やはりいっそプロテスを無くしたほうが良いのかな、とも思います。

――「プロテス」は結構悩みの種なんですか?

吉田氏: そもそも4.0の開発中からずっと悩んでいるものですね。

――以前にも、なくしてもよかったんだけどと言われてましたものね。

吉田氏: プロテスは必ずかかっているもの、ということで、開発チームは「プロテスが張られている前提」でボスの攻撃などの数値バランスを取っています。しかし、無くなるのであれば、そのプロテス分の数値を計算から抜けば良いだけなので、さらにシンプルになります。プレーヤーのみなさんも、ひと手間減ります。しかし、バトル中に倒れたプレーヤーを蘇生し、瞬時判断でプロテスをかけなおす、というのも実はヒーラーさんの役割のひとつ。面倒ではあっても、ゲームプレイをシンプルにしすぎると、飽きも早くやってきます。また、白魔道士の皆さんは、白魔道士からなんでもかんでも奪っていくな! と仰られるでしょうし、4.0では残すことにしたのです。この辺りはフィードバックも含め、まだまだ悩んで行こうと思います。

「ザ・フィースト」は現在大会運営の体制を構築中

――「ザ・フィースト」についてですが、チーム登録が始まり、いよいよ本格的にe-Sportsとしてやっていく体制が整ってきたわけですが、将来的にはプロリーグのような形も考えているのですか?

吉田氏: まだそこまでは考えていません。もちろんやれたらいいなとは思いますが、MMORPGでPvEがメインのゲームでもあるし、フランチャイズでもあるので、その中で着実に一歩一歩公式大会とか、プレーヤーの皆さんが、「ゲームをプレイするだけではないモチベーション」きちんと作りたいと思います。試合や大会の中継もしっかり定期的にやり、どこまで盛り上げていけるかを見定めて行きたいと思っています。あまり今から上を見過ぎても、ひっくり返ってしまうだけですので、新生以降のPvPで常にそうしてきたように、PvPを応援してくださる方々と、一歩ずつ、着実に進めていこうと考えています。ただ、オフィシャル大会の準備は進めていますので、近々お話しできると思います。

新マップ「クリスタルタワー演習場」

――オフィシャル大会はファンフェスで開催されるようなイメージですか?

吉田氏: それらも確定できたらお知らせしようと思っています。当然ですが、オフィシャル大会は日本だけで実施できれば良いわけではなく、グローバル全体で運営やルールの統一であるとか、その辺りのスタッフの意識合わせや教育も必要です。今はそれをやっている最中です。詳しく確定できたら、またPLLなどでお知らせすると思います。いずれにせよ、実施は必ずしますので、ぜひチャンピオンを目指したい方は、腕を磨いておいていただければと思います。

――「ザ・フィースト」のような少人数の対人戦では、最初に入り損ねてしまうと、敷居の高さがあるじゃないですか。実装当初はワーワーやれていても、だんだん戦術が確立されていくと、初心者にとっては敷居が高く感じられていくような。

吉田氏: 「PvP初心者の支援」はフィードバックもあり、かなり頭を悩ませています。やりすぎると引かれると思いますし、薄すぎると上級者から「そこじゃない」とご指摘を受けるでしょうし、現在真剣に考えている最中です。

――今回のアップデートに合わせて、全然今までやったことがない人が入るための仕組みであるとか、キャンペーンなどの予定はありますか?

吉田氏: これまで同様に、コラボ装備やマウントなどのリワードがせいぜいで、キャンペーンなどまでは考えていないです。PvPは競技性が強く、やはり勝ちにこだわる方が多い。またそうであるべきだと思っています。やりたくない、という方に、これ以上の無理を要求するのは逆効果だと思っています。またPvPをプレイしてくださる方すべてにトップ水準を要求するのも違うと思っています。好きでPvPをプレイすることが、イコール上手である必要はありません。

 僕も多くのゲームでPvPをプレイしてきましたが、勝ちにこだわる気持ちはわかりますが、勝ちのための努力を他の人に強要するのはNGだと思っています。それだと絶対に上手くいかない。この辺りは、PvEの固定パーティを組むのも同じです。だからこそ、もう少し「ザ・フィースト」への入り口は緩くしたいと考えているのですが、もう少々お時間をください。

 ただ、少なくとも、「ライバルウィングズ」でたくさんの人がPvPという物自体に触れてくれているので、今後「ザ・フィースト」がアップデートされていく中で、試合を観戦すること自体に面白さが出てきたり、データセンター内で人気チームが出てきたら、そういった楽しみも生まれるのではないかと思います。

 これらの施策をじっくり続け、それで「自分もやってみたいと」思ってくれれば、それが1番だと思いますし。実際「4.0」から「FFXIV」のプレイを始めたという新規の方の中にも、「絶バハ」をクリアしている方もいるわけで、後発だから不利ということはあまりないと思うのです。

――逆に、大人数用の「ライバルウィングズ」などでのトーナメントはありえますか?

吉田氏: いいえ、予定はありません。24人のチームや意志疎通は無理があると思います。チームが組めないというか、毎回24人集めないといけないとか、それこそ敷居が高すぎます。みんなでワーワーやるイベントなら良いと思うのですが、勝敗にこだわりすぎるような施策は大規模PvPには向かないと思います。これもFFXIVがPvEとPvPが双方あるゲームだからであり、PvP一本のゲームであれば、もちろんやるべきだと思います。

――例えば「ライバルウィングズ」を8対8のコンテンツにするといったことは考えていませんか?

吉田氏: はい、それも予定がありません。人数が減ると責任感が増し、今の面白さは消えてしまうと思います。バトルだけではない参加モチベーションや役割があるから、プレイしていただけているのだと思いますし。

――24人いるから、適当に青燐水ばかり探してても許される部分はありますね。

吉田氏: ネットで言われる、「水汲みおじさん」が活躍できるのは、24人だからなんだと思っています。僕も仕事で疲れているときは、水汲みおじさんですし(笑)。

潜水艦は飛空艇よりも製作が簡単に!

――サブマリンボイジャーについても少しだけお伺いします。こちらはエアシップボイジャーに続くものとして考えればいいんでしょうか?

吉田氏: はい。ただ、作りやすさとしては、エアシップよりも、とっかかりは入りやすくしました。今はかなり新規の方もいらっしゃいますが、エアシップボイジャーは今のレベル70になってからの金策としては、それほど主流ではないので、手を付けずにいた方は多いと思うんです。今回サブマリンボイジャーから入って、エアシップでも遊んでもらえるように導入はエアシップより楽にしてあります。ただ当然とれるものは違うので、何が欲しいかで探索をつかいわけるようになっています。純粋にアップデートだと思っていただければいいかなと思います。カンパニークラフトのボイジャーシリーズの大幅拡張だと思っていただければよいかなと。

エアシップよりは作りやすくなっているという「サブマリンボイジャー」

――「サブマリンボイジャー」の先にまた「空島」のようなものはあるんですか?

吉田氏: いや、今は予定していないです。

――ちなみに何が手に入るんですか?

吉田氏: それはもちろん、探索してみてください。それでしか入手できないミニオンもありますよ。エアシップにあったようなものは一通り期待しておいていただいても大丈夫です。

――またオートタマが操縦していくんですね。彼はすごいですね。何でも操縦できて。

吉田氏: 彼らは万能なんです……僕らにとっても(笑)。

ファンフェスでは早くも未来の話が発表されそう

――ファンフェスの日程が発表されましたね。ホテルを取ってねという意味合いも込めて、少し早めの発表だったということですか。

吉田氏: そうですね。特にツアースタートとなるラスベガスが11月開催ですので、発表の時点でもう1年を切っています。アメリカの方はバカンスや休暇のタイミングをかなり先まで決められるので、早めに航空券やホテルを抑えられるように、早めの発表を心掛けるようにしています。

――今年の11月というと、なんだかあっという間という気がしますが、ここで次の拡張パックについての情報が発表されるのですか?

吉田氏: どうなんでしょうね……(苦笑)。「FFXIV」の未来について語る、という基調講演はたぶんすると思うんですが。それが拡張かどうかは……パッチ4.8まであります! という内容かもしれないですしね(笑)。

――そうはいいつつ、みんな期待することは1つですから。

吉田氏: 確かに今回は正直に、「次の拡張は既に作り始めています」と言っていますしね(笑)。拡張の取り掛かりは、当然ながら僕が1番早く作業を開始するので、なかなか今しんどい状態です(苦笑)。

――では、もう今は拡張用のラインと4.0のラインに分かれているのですか?

吉田氏: 「FFXIV」は拡張とパッチでラインが分かれていないのです。以前「World of Warcraft」チームにお話を聞かせていただいた際、分けているということだったので、うちもそうしようかと思ったのですが、上手く分割できそうになかったので、うちのやり方にあった方法にしました。恐らくグラフィックスリソースを作る速度が異なるので、その差分が大きいのだろうと。

――あいている時間にどんどん拡張の開発を進めるわけですか?

吉田氏: スタッフ層によって動きが異なりますが、僕は4.0リリース時に、次期拡張をやるかどうかの決断をして、それと同時に概要を決めます。それと並行して、4.Xシリーズの結末までのコンテンツやアップデートマイルストーンを作り、それを全セクションのリーダー陣で検討してもらい、アドリブ枠以外はFIXしてしまいます。

 その後、僕とシナリオチームで、4.1作業中に次期拡張の骨格を決めてしまいます。以降、僕は同時並行で作業をし、マネジメントチームが僕の仕事の振り分けをします。パッチラインの計画はもう詰めてしまっているので、僕の仕事はパッチ単位の細かい仕様の確認やプレイチェックが主になり、それ以外の時間は拡張の詳細を詰めたり、マップだったり、レイアウトの確認や確定、各ロケーションのアートワーク発注だったりという部分がいま最盛期です。

――ではもう開発作業は本格化しているところなんですね。

吉田氏: 大規模な作業の前の作業、というイメージです。必要なものは今決めておいて、それを元にパッチ業務と並行して、少しずつ各セクションが、各セクション都合に合わせて拡張作業を進めていきます。すべてが拡張に集中するのはもっと先です。一部の主力スタッフは、ここでスピードを上げ、決めるものを決めておかないと、開発の手が空いてしまって全部後ろにしわ寄せが行ってしまうのです。もう僕とかはパニック寸前ですね。あれ、この話どっちだっけ?などは日常茶飯事ですね(笑)。

――日本は3月ですが、会場が倍になるということで、楽しみですね。

吉田氏: 本当は2018年12月にやりたかったのですが……。

――やはり会場を取るのが難しいのですか?

吉田氏: 全然ダメでした。開催の1年半前に会場を探していたにも関わらず、あの日程と場所ですからね。

――大阪での開催は検討しなかったんですか?

吉田氏: 大阪も検討はしました。しかし、こんどはちょうどいいサイズと日程が合いませんでした。ドームなどになってしまうと、今度は開催規模が上がりすぎて手に負えなくなってしまいます。今回は本当に会場探しで四苦八苦です。

――ファンフェスですが、入場料などの発表はいつくらいになりますか?

吉田氏: 各地域からの提案を待っているところです。間もなくファンフェス総番長である室内(※FFXIVグローバルオンラインプロデューサー)が現地へ飛んで、色々なものをまとめてくる、というフェーズです。

――またチケットの争奪戦が厳しくなりそうですね。

吉田氏: そうですね、そうなってくれると運営側としては嬉しいですが、プレーヤーさんは大変かもしれません。もちろん、希望される方全員が来場できる方が良いと思いますが、全員が入れる規模というのも難しいし……。しかし、その分だけ来場してくださった方が、またやってほしい、また参加したい、と思っていただけるファンフェスにしたいと思います。

――次の拡張が近づいてきたら、またい・ろ・は・すを討滅したりする予定もあるんでしょうか?

吉田氏: お正月にライブサーバーでプレイしていたら、「いろはす討滅戦はまたあるの?」と結構聞かれましたね。また施策は色々行いたいと思います(笑)。

 今年の8月で新生して丸5年、旧からだと8年になるのに、それでも今たくさんの方が新規にプレイを始めてくださっているのは、やはりしっかりと大きな施策を実施して、「今も『FFXIV』はこんなに元気ですよ!」とPRを続けているからだと思います。その一環としてまた何かやると思います。今は日本中に、いや世界中にですが、いろんな企業さんに光の戦士さんたちがいらっしゃるので、話がまとまりやすくもなってきたということもあり、また色々やっていきたいと思っています。

――最後にファンへのメッセージをお願いします。

吉田氏: 2017年は拡張も何とか出せて、新規の方や復帰の方にも多くきていただきました。サービスインして丸4年経ってから最高有料課金者数突破という結果も出せて、昨年は本当に皆さんに支えられて、さらに飛躍できた1年になりました。

 今年はまた次の飛躍にむかって、力を貯めつつも「FFXIV」ってホント変わったことやるよね、面白いことをやるよねと言ってもらえる1年にしていきたいと思っています。パッチももちろんですが、イベントも含めて「FFXIV」というコンテンツになりつつあるので、ゲーム外の活動も含めて、楽しんでもらえる1年にしようと思っています。まずはその皮切りになるパッチ4.2が1月30日に公開されます。

 先の展開はまだまだまったく予想が付かないと思うのですが、結構衝撃のシーンもあったりするので、ぜひその先の展開を皆さんでああだこうだと議論してもらいたいです。今回は全包囲にいろんなコンテンツが入っていますので、ぜひ楽しんでいただければと思います。

――ありがとうございました!