プレイヤーが本当に知りたいことを直撃

 2014年7月8日に公開された大型アップデート“パッチ2.3 エオルゼアの守護者”を控えた6月24日、『ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア』(以下、新生『FFXIV』)のプロデューサー兼ディレクターを務める吉田直樹氏にインタビューを敢行。パッチ前の忙しいさなかに快く応じていただいた。

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 パッチ2.3の概要については、第14回と第15回のプロデューサーレターLIVEですでに明かされていた。今回はそうした既知の情報を踏まえたうえで、プレイヤーとして“知りたいこと”を率直にぶつけてみた。結果、極ラムウ討滅戦やクリスタルタワー:シルクスの塔といった新規コンテンツに関する数多くの謎が解明されたのだ。パッチ公開前のインタビューであることを念頭に置いて読んでいただきたい。

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▲重箱の隅をつつくような細かい質問にも、吉田氏はにこやかな表情で答えてくれた。

 なお同日に行われたこのインタビューに先立ち、スクウェア・エニックス本社内にて、メディア各社向けの真ラムウ討滅戦の体験会も催された。体験会の模様は<<<こちらの記事>>>を見てほしい。

吉田氏の過密スケジュールはE3後も続いていた

──E3での怒涛のプロモーション活動、お疲れさまでした。
吉田直樹氏(以下、吉田) ありがとうございます。これで僕もやっとひと息つけると思っていたのですが、今週末に中国へ飛ぶことになっていまして(笑)。来週月曜(6月30日)に中国から帰国した後、そのまま1日だけ日本に滞在。そこからフランスで開かれるジャパンエキスポに参加するため、水曜日からまた海外出張というスケジュールになっています。あまりにも過密な日程なので、ゲームの内外で何かトラブルが発生した場合に備えて、スタッフをスタンバイさせておいたほうがいいのではないかという話をしています。
──今年のジャパンエキスポでは、どのような催しを予定されているのですか?
吉田 昨年まではステージ上でプレゼンテーションを行ってきたのですが、フランス内でコミュニティが拡大し続けていることを受けて、今年はE3と同様のリヴァイアサンのバトルチャレンジを行うことにしました。

パッチ2.3のタイトルに込められた皮肉とは

──パッチのタイトル“エオルゼアの守護者”とは、具体的に誰を指しているのですか?
吉田 いろいろな要素を含んでいます。暁の血盟やグランドカンパニーなど、“エオルゼアの守護者”にふさわしい集団が各地に存在します。であるにも関わらず、争いは収まらず、新たな火種が生まれるのか、といった部分に、ご注目いただければと思います。『新生FFXIV』は、「エオルゼアを守りたい」と願う組織や集団の活躍を描くことも、テーマのひとつになっています。現実世界が抱えている問題にどこか通じるリアリティあふれるシナリオを、なるべく意識して作るようにしました。僕自身としては、“エオルゼアの守護者”というタイトルに、少しだけ皮肉を込めたつもりでいます。

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▲エオルゼアを守ろうとする者たちの活躍と苦悩が、今回のストーリーの中核のようだ。

──ロゴ内の英字に刀傷がついていますね。
吉田 きれいな文字ではないというところがポイントのひとつではあります。
──パッチ2.3トレーラー「エオルゼアの守護者」に登場する銀髪のエレゼン女性は、もしかしてシヴァなのではありませんか?
吉田 メインストーリーを実際にプレイすれば、いろいろわかってくることや、想像できることがあります。シヴァを信奉する蛮族(テンパード)の種類についても、勘の良いかただと予想できるかもしれないですね。今回のメインストーリーはパッチ2.4以降の展開にも食い込んでくる作りになっているので、それを踏まえたうえで楽しんでいただきたいと思っています。

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▲この銀髪の女性の正体は、今後のメインクエストを通じて明らかになっていくと見て間違いない。

極ラムウ討滅戦は冒険者どうしの連携が重要になる!

──今回登場するラムウも“守護者”ですか?
吉田 はい。この蛮神はもともと世の中の均衡を保つ調停者という役割を担っており、それが伝承によってエオルゼアに広く伝わっています。
──真ラムウ討滅戦の難度を教えてください。
吉田 全員初挑戦の8人メンバーが突入しても、2~3戦すれば勝てるくらいの難度を想定しています。ボスのHPはさほど多くないですし、用意されているギミックはせいぜい3パターンくらいなので、それらを理解できれば、苦労せずに倒せるはずです。真ラムウ討滅戦を、“極”へ向けての単なる通過点と思っている方は、現在のギミックがどのようにパワーアップするのかを想像しながら楽しんでいただければと思います(笑)。

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▲HPや攻撃力の高さではなく、あくまでもギミックに依存した難度設定となっていることを吉田氏は強調していた。

──極ラムウ討滅戦について、現時点でお話いただけることはありますか?
吉田 プレイヤーどうしの連携が重要になります。また、水にはご注意ください(笑)。
──リングアウトのギミックが存在するのでは、と一部のプレイヤーのあいだで噂されています。
吉田 ステージ落下のギミックはありません。当初から落ちない計画だったのですが、MAPが公開されてからのネット上の反応を見ていて、ちょっと悩ましかったです。
──もしかしたら、プレイヤーはリンクアウトを望んでいるのではないかと?
吉田 望んでいるというか、ネタ交じりに楽しんでもらっているのかな、と。けっきょく当初の方針通りにプレイヤーは落下しません。その代わりに、雷が落ちます(笑)。
──報酬のラムウ武器を、特定のアイテムなどでパワーアップさせることは可能ですか?
吉田 いわゆる直ドロップにしてあるので、強化の要素は入れていません。第14回プロデューサーレターLIVEでお伝えしたとおり、極ラムウ討滅戦のドロップはアクセサリがメインです。現在、プレイヤーの皆さんの多くが、極リヴァイアサン討滅戦や大迷宮バハムート:邂逅編5で獲得できる武器を手に入れ始めています。これらの武器を取得した方々が、つぎに核として活用できる武器を、極ラムウ討滅戦でご用意するイメージです。とはいえ、くり返しになりますが、極ラムウ討滅戦はアクセサリがあくまでもメインになります。
──具体的に、どの部分に装着するアクセサリをドロップするのでしょうか……?
吉田 お楽しみに、と言わせてください(笑)。
──それを明かしてしまうと、いまからパラメータの調整を始めるプレイヤーが現れてしまいそうですからね(笑)。では、ラムウ武器の強さはどれくらいになるのでしょうか?
吉田 武器のチョイスのひとつとして、候補に入ってくるイメージです。

シルクスの塔ではタンクが合計3人! DPSは総勢15人!!

──クリスタルタワー:シルクスの塔(以下、シルクスの塔)のボリュームは、前回の古代の民の迷宮と同じくらいですか?
吉田 そう思っていただいて問題ありません。難度の面でも、タクティクスがわかっていれば、それほど苦労せずにクリアできるはずです。とはいえ、パッチ公開直後は、ギミックの起動を止める方法などをみんなで相談し、試行錯誤をくり返しながら攻略を進めていくことになるでしょう。
──シルクスの塔で得られる装備は、ボスの姿をモチーフにしていますが、当該の敵を倒せば対応するアイテムがもらえるのですか?
吉田 そこは割り切らせてもらっています。そうしないと各ボスから特定のロールの装備しか出ないことになってしまいますので。ロットインのルールや取得制限については、パッチ2.1時点での古代の民の迷宮と同じです。

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▲シルクスの塔で獲得できる装備は、ボスの見た目をイメージしたデザインになっている。

──シルクスの塔に突入するパーティのロール構成は、古代の民の迷宮と同じですか?
吉田 シルクスの塔では、一度に参加できるタンクの数を3人と定めています。3つのパーティにタンクがひとりずつ配置されるので、コンテンツファインダーにDPSで参加申請を行った際の待ち時間はかなり短縮されるはずです。もしかしたら、タンクよりもむしろヒーラーのほうが不足するかもしれません。
──コンテンツ側も、3人タンク制を前提としたバランスに調整されているわけですね。
吉田 はい。難度についても、3人のタンクでクリアできる設計にしてあります。一方でDPSは、ひとつのフルパーティ当たり5人になります。人数が増えるぶん、彼らに独自の役割が求められる部分もあるはずです。
──ドロップした未鑑定トームストーンは、24人でロットインすることになるのですか?
吉田 未鑑定トームストーンは、ボスを倒した後に出現する宝箱から毎回抽選で手に入ります。3つのパーティにひとつずつ宝箱が現れ、その中でトームストーンの出現も判定されるので、ロットインの競争もさほど厳しくありません。ドロップ率も悪くないので、“比較的見かける”と思いますが、未鑑定トームストーンを取得した場合は、装備品を手に入れたときと同様に、その週のロット権は失われてしまいます。どのアイテムを獲得すべきかを、事前に決めておいたほうがいいかもしれません。

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▲高性能装備と未鑑定トームストーンのどちらを狙っていくか、シルクスの塔へ挑む前に決めておけば、現地で悩まずに済むのだ。

──シルクスの塔には、大ボスと目されていた始皇帝ザンデが登場するため、一連のシリーズが今回で終わるかのような印象も受けます。クリスタルタワー関連のバトルコンテンツは、今後も追加されていきますか?
吉田 『FFIII』のクリスタルタワーには、今回登場する始皇帝ザンデ以外にもまだまだボスがいるので、もちろん続いていきます。(今後登場するボスは)実際に『FFIII』をプレイしていただければわかるはずです(笑)。クリスタルタワーについては、『FFIII』のイメージをきちんと再現することを基本方針としているのですが、今回は始皇帝ザンデと絡んだ後に、『新生FFXIV』なりのストーリーも用意しています。登場人物も増えますし、ガレマール帝国軍幹部のネロ・トル・スカエウァも現れるので、先々の展開も予想しつつ、シルクスの塔を遊んでいただきたいです。
──始皇帝ザンデやアモンのほか、ガーディアンとレッドドラゴンも登場するようですが、彼らもボスとして現れるのでしょうか?
吉田 シルクスの塔は『FFIII』のクリスタルタワーで出てきたモンスターの構成をできるだけ再現する方向で進めています。ボスに限らず、増援として襲来する敵の中にも、往時を思い起こさせる相手が登場します。シリーズ3作目をプレイされた方であれば、そうした部分をより深く楽しめるでしょう。

フロントラインは公平性とカジュアル性を重視した作り

──グランドカンパニーごとに分かれて戦うことにともない、グランドカンパニーを移籍する際のコストが、今後軽減される予定はありますか?
吉田 移籍不能期間が30日に設定されていますが、これは短縮の予定です。現状でも、初回の移籍にはギルが消費されない仕組みになっています。PvPポイントの持ち越しもそうですが、もう少し推移を見守ってから更に調整するかどうか、検討させていただこうかと思います。
──吉田さんご自身は、移籍コストを下げることに慎重でいらっしゃるのですか?
吉田 あまりにも頻繁に移籍できるようにすると、帰属意識や同族意識が薄くなり、結果的に心理作用が低くなり、スパイ行為など、モラルの低下にも繋がる可能性があるので、今のところはそれほど積極的ではありません。

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▲対戦格闘ゲーム的な展開が魅力のウルヴズジェイルに対し、フロントラインでは大衆スポーツ的な陣取り合戦が味わえる。

──今後PvPに関して、それぞれのグランドカンパニーならではの要素は入りますか?
吉田 フロントラインのベース企画では、グランドカンパニー単位に、PvP専用ジョブアクションを用意する予定でした。いまもまだ企画は残っています。ただ、今回のフロントラインはできるだけカジュアルで公平なバトルを提供するというコンセプトで進めているので、当初の企画意図を生かすかどうか……という部分も含めて、現在検討しているところです。
──PvPのバリエーションは、今後どのように広がっていきますか?
吉田 今後は、ウルヴズジェイルとフロントラインのふたつを根本に据えてアップデートしていきます。たとえばフロントラインはカルテノー平原のアウトロー戦区で展開されるバトルですが、戦線の拡大に伴って、別のエリアが新たな戦場になる可能性もあります。
──ギミックは今後も増えていくのですか?
吉田 外壁やドアを壊さないと内部に入れないタイプの陣地を追加する……といった拡張のパターンを考えています。その際には、クラフターが製作したシージウェポン(攻城兵器)をグラウンドターゲットで設置して砦を攻撃するなど、そういったアップデートなどを考えていきたいと思っています。

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▲フロントラインで今後追加される要素の多くは、将来的な展望を見越したうえで、リリース時期が決定されるのだ。

新規インスタンスダンジョンの分類はエキスパート

──新たに追加される3つのインスタンスダンジョンの難度は、どれくらいですか?
吉田 パッチ2.2で登場した3つのダンジョンと同程度の手ごたえになるよう調整しました。
──コンテンツルーレットのカテゴリーは?
吉田 エキスパートに分類されます。パッチ2.2の時点でエキスパートだったコンテンツについては、コンテンツルーレット:ハイレベルに移動となります。
──ハイレベルの数が増えるのですね。
吉田 そうなります。
──惨劇霊殿 タムタラの墓所の特徴を、あらためてお聞かせください。
吉田 すでにお気づきの方も多いと思いますが、シナリオ面で今まで以上に濃い作りになっています。ギミックの面では、中ボスが特徴的です。パッチ2.3トレーラー「エオルゼアの守護者」をご覧いただればわかるとおり、エッダのパーティがいろいろ絡んでくるので、そのあたりにもご期待いただければと思います。

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▲惨劇霊殿 タムタラの墓所のキーパーソンと目されるエッダ。彼女の笑みの裏側に秘められた“思い”とは……?

──中ボスは比較的強めの設計ですか?
吉田 いままでの中ボスとは、毛色が少し違います。ポイントを理解できればすごく簡単にクリアできるようにしてありますが、それに気づくまでは文字どおり惨劇になるかもしれません(笑)。とはいえ慣れてしまえば、タムタラの墓所のハード版が、3つの新規ダンジョンの中でもっとも短時間でクリアできるコンテンツになるのではないでしょうか。
──では、城塞攻略 ストーンヴィジルのギミックについてはいかがですか?
吉田 単純にモンスターを殴るだけではない部分もあったりします。いままでとは違う、変化球ともいえる展開が楽しめるはずです。ボスについても、範囲攻撃の予兆が表示されないことが原因で、ランダム性がほかよりも高めに設定されているボスも登場します。“技の予兆を見て避ける”というよりも、“ボスの動きを察知してどの技が来るのかを判断する”部分のほうが重要になると思います。

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▲城塞攻略 ストーンヴィジルでは、いままでとは一風変わったスリリングな展開が楽しめる。

マンドラーズは今後も姿を現すこともありうる

──今回の事件屋クエストに顔を出すマンドラゴラは、『FFXII』のマンドラーズですか?
吉田 マンドラーズです。彼らはなかなかオモシロい絡みかたをしてきますよ(笑)。
──『FFXIII』ではオスだったマンドラーズの1体が、本作ではメスに変わっているようです。
吉田 マンドラーズについては、皆さんの反応次第で、今後何らかの再登場もありえるかもしれません。ぜひ、フィードバックお待ちしています。

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▲いちばん左のマンドラゴラが、『FFXII』のマンドラプリンスに相当すると考えられる。ピンクを基調とした色合いなので、プリンスではなくプリンセスのようにも思えるが……?

──蛮神討伐・討滅戦のひとつとして、彼らとバトルを展開することになるのですか?
吉田 そうではありません。蛮神討伐・討滅戦とは違った形式でシナリオに組み込まれています。彼らがどのような役割を果たすのか、いろいろご想像いただければと思います。
──彼らと戦うことはないのですか?
吉田 バトルといえばバトルですね。いままでとは少し毛色が違うものになっています。ギルガメッシュ討伐戦ほど大規模なものではなく、あくまでも事件屋クエストのシナリオ全体の一部分とお考えください。
──ライバルのブリアルディアンをはじめとする、ヒルディブランドを取り巻くキャラクター群のひとつという位置付けですか?
吉田 はい。さまざまな人物が加わり、物語が賑やかになっていきます。今回も僕はテストプレイしながら笑ってしまいました。一段と無茶やってる感じです(笑)。

アイテム分解は目的ではなく行為

──アイテム分解のスキルを最高まで上げるには、どの程度の期間が必要ですか?
吉田 スキルの上昇テーブルを、ギリギリまで最終調整しています。方針としては、スキルが低いあいだはサクサクと上昇。クラフターの技術が高まる中盤以降は、1回分解した程度ではなかなかスキルが上がらないという方向で調整を進めています。
──分解の腕前を表すスキルは、数値で表現されているのですか?
吉田 はい。0.01単位で上げられるようになっています。成功率は、分解を試みる品物のアイテムレベルと、自身のスキルとのあいだの相対性で変動します。ただこのコンテンツはスキルを上げることそのものが目的ではなく、あくまでも育成したスキルによって、どれくらいの確率で何を取り出せるようになるのか、取り出したアイテムで新たに何を作れるようになるのか……この部分が本分になります。スキルを100まで高めるのは、確かに大変です。でもある程度まで育てていれば、たいていの品物が分解可能になるので、その時点でスキル上げは100まで無くてもいいバランスを目指しています。たとえば3種類のスキルを100まで上げることも可能ですが、そこから先は趣味の世界。もちろん分解性効率は高くなりますが、頂点を目指すのは、かなり大変になると思います。
──お話を聞くと、『FFXI』のアイテム合成の成長システムに似た印象を受けます。
吉田 一般的なMMORPGにおける、コツコツ系コンテンツの育成システムに近いと思います。極端にスキル上げを厳しくすると、プレイ時間の長短がそのまま初動差に繋がってしまいます。先行プレイヤーがアイテム分解を介して作った新製品をどんどん流通させると、後続の方々のモチベーションが低下してしまいます。ですので、そうした流れが生まれない程度のバランスにしようと、ギリギリまで調整しているわけです。
──むしろ、いまから製作を始めようとするかたたちに配慮した作りを目指したのですか?
吉田 クラフターのレベルが30に到達すると、分解というアクションが使えるようになります。製作で経験値を稼いだ後、自分で作った品物を解体し、併せてスキルも高めていけば、赤字をなるべく抑えながら効率よく育てていけるかもしれませんね。
──分解を行う際に、触媒は必要ですか?
吉田 複雑な手順を加えないこともコンセプトにしているので、触媒などはまったく必要ありません。分解は、あくまでもクラフターだけが行える手段のひとつという位置付けです。目的ではなく、行為なのです。

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▲吉田氏はクラフターの育成コンセプトについても、熱く語ってくれた。決してバトル方面だけを重視しているわけではない姿勢の表れだ。

──クラフターが製作できる新たな装備品とは、具体的にどのようなものでしょうか?
吉田 「捨てずに残しておいてください」と以前お話していた蛮神武器が、陽の目を見ると思います。蛮神系の新規武器はエフェクトが追加されていて格好いいので、ぜひ作ってみてください。
──いわゆる打ち直し系になるのですか?
吉田 蛮神系の新規武器専用のレシピが追加されます。材料として何が必要になるのかを、いろいろご想像いただければと。もとの武器よりもアイテムレベルが上なので実用性はありますが、どちらかといえばミラージュプリズム用としての需要が高まると思います。ですので、HQを作り出すことにあまりこだわらなくてもいいのかなと。一方で、新たな鎧に独自のエフェクトを発生させるという試みも行っているので、ぜひ実際に着用したうえで、感想をお寄せいただければと思います。
──星マークが4つのレシピは追加される?
吉田 星マークの増加は、アイテムレベル上限の引き上げと同じ時期に行うつもりです。

新規サブストーリークエストでは有名NPCの秘蔵設定が楽しめる

──冒険者が“配達士”になる、新しいサブストーリークエストの概要をお聞かせください。
吉田 レターモーグリが発端となって話が進む、プレイヤーが手紙を届けた相手のエピソードが楽しめるコンテンツです。レターモーグリから手紙の配達を依頼され、そこでの体験を通じて特定のNPCの話が楽しめます。たとえば、グリダニアの宿屋の女主人ミューヌに手紙を渡すと、彼女の過去がわかる、といった感じですね。
──宿屋カーラインカフェは、ミューヌの高祖父の時代から営業を続けていて……といった掘り下げた話が展開されるのですか?
吉田 ミューヌの身の上話だけでなく、グリダニアのとある建造物のエピソードが語られたりもします。ふだんは表に出てこない設定が明らかになったりします。
──ミューヌのほかに、どのようなNPCのエピソードが楽しめるのですか?
吉田 いわゆるレギュラーメンバーばかりでなく、「この人にもスポットが当たるのか」というようなNPCも登場します。パッチ2.3以降も、新しい要素を追加していく予定です。
──発生条件はどのようなものでしょうか?
吉田 メインクエストで出会ってきたNPCにスポットが当たるので、一連のシナリオをある程度まで進めることで発生します。
──ということは、たとえばミンフィリアというよりも、ネドリック・アイアンハートのような人物にスポットが当たるのですか?
吉田 そのとおりです。暁の血盟のメンバーたちのエピソードは、メインクエストの中で語られていきますので。物語の主要人物というよりも、むしろその周辺にいるNPCのほうに焦点が当たります。シナリオチームが、エオルゼアの世界設定に沿ったエピソードをキッチリと作っているので、ご期待ください。
──個人的には、グリダニアのマイセンタのシナリオを追加してほしいです。
吉田 そういったリクエストも、フォーラムにお寄せいただければと思います(笑)。

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▲イエロージャケットのリスフローは、リムサ・ロミンサのメインクエストに登場した人物。彼のエピソードが語られる可能性も、十分にある。

新たなマイチョコボ育成はジワジワと長く遊べる作り

──邸宅に設置した厩舎で実行できる、新たなマイチョコボ育成について教えてください。
吉田 手順そのものは難しくありません。与えるエサの種類や訓練の方法に応じて、マイチョコボのパラメータに変化が起こります。高い効果が得られる組み合わせを、皆さんで情報交換しながら探してみてください。
──どのようなエサを与えるのですか?
吉田 たとえば、畑で新たに収穫できる新規作物をマイチョコボに与える、などです。
──そのエサの入手難度は高いのですか?
吉田 ふつうに採れたものを、フリーカンパニーのボックスに収納しておき、必要に応じてそれを取り出して使う流れを考えています。エサを与えることにデメリットは存在しないので、どんどん世話をしてあげてください。

『新生FFXIV』パッチ2.3は追加ディスクへの折り返し地点 パッチ2.3吉田直樹氏インタビュー_14
▲ランク10のマイチョコボが厩舎の中で限界突破を果たすと、ランクが11に上昇。さらにポイントを稼いでいくと、最終的にすべてのロールのチョコ専用技が使えるようになるとのこと。

──マイチョコボはどう強くなるのですか?
吉田 ひとつのパラメータを突出して育てると、別の能力値が伸びなくなるようなことはありません。マイチョコボの性能がご自身の好みに合うよう、ジワジワと長く遊んでいただきたいです。厩舎では、フリーカンパニーのメンバーが預けたマイチョコボを世話することもできるので、ぜひログアウト前に立ち寄り、エサをあげてください。その際は、厩舎の掃除もお忘れなく(笑)。
──厩舎に預けられるマイチョコボの数には上限が存在するのですか?
吉田 上限は存在しますが、ふつうにプレイしていて困るほど少なくはありません。
──チョコボ育成のコンテンツに関する機能は、今後拡張されていくのでしたよね。
吉田 はい。チョコボの毛が生え変わるようになったり、さらにその後用意している大規模なコンテンツに繋がっていったりします。
──フリーカンパニーの邸宅に設置できるプライベートルームの数に上限はありますか?
吉田 上限はもちろん存在しますが、具体的な数はパッチ公開まで秘密にしておきます(※編集部注 7月1日にハウスのサイズに関わらず、512室までと発表されている)。

『新生FFXIV』パッチ2.3は追加ディスクへの折り返し地点 パッチ2.3吉田直樹氏インタビュー_15
▲邸宅内の1階に新設される専用のドアを利用して、個人向けのプライベートルームに移動する。

パッチ2.3の物語は“いちおうの決着”に向けての折り返し地点

──それでは最後に、『新生FFXIV』のストーリーにおける、パッチ2.3の位置付けを教えてください。
吉田 パッチ2.3は、我々がバージョン3.0と呼んでいる追加ディスクのリリースに向けての折り返し地点になると考えています。バージョン2.0の状態から『新生FFXIV』がスタートした後、新たな序章という位置付けのパッチ2.1と、それをまっすぐに発展させたパッチ2.2を公開。そこから続く今回のパッチ2.3のリリースによって、全体のちょうど中間地点に到達したという認識でいます。イメージ的には、バージョン3.0までに決着がつくものとつかないものが混在しつつも、すべてのカードが提示された感じです。現在まで続いてきたシナリオが、追加ディスクの発売までに、どういう流れでいちおうの決着を見るのか……そうした雰囲気やニュアンスのようなものを、今回のパッチで感じ取っていただければうれしいです。コンテンツの面では、PvE(プレイヤー対モンスター)、PvP(対人戦)、ハウジングという大規模MMORPGに欠かせない3つの軸がひととおり出揃います。今後は、これらの遊びの軸を深く掘り下げていくことになりますし、さらにその上に、『新生FFXIV』ならではのコンテンツが積み上げられてもいきます。
──パッチのリリースを心待ちにしています!

(2014年6月24日収録)